障害高齢者の筋力強化
筋力強化の研究は1950年代より盛んに行われました。
デローム、ヘッティンガーミューラー、ローズ等の研究が有名です。日本でも筋力強化の研究は盛んに行われ、ギプス固定中の筋力低下に等尺性収縮が有効か、電気刺激が有効ではないかといった研修論文が多数あります。これらの論文のエビデンスはとても高いです。このような研究の被検者の大半が健常人、リハビリの学生が殆どでした。従って運動系の病的状態にない人には、とても有効です。
フィットネスクラブのマシントレーニングは健常人の筋力強化、体力の増強には非常に効果を発揮します。
しかし、運動系の病的状態、高度な骨関節疾患(リュウマチなど)、末梢神経障害、中枢神経系疾患には殆ど無効です。認知症も高次脳機能障害があるので無効です。
その理由の一つは、デローム、ヘッティンガーミューラー、ローズ等の研究は最大筋収縮力を測定して、その後どのような筋力強化法が有効かを検証しています。それらの論文の殆どが最大負荷に近い値で訓練しないと有効な筋力強化ができない、筋線維は肥大しないということが結論になっています。
逆に言うと、最大負荷の筋力が測定できない人には筋力強化はできないということです。
運動系の病的状態、高度な骨関節疾患(リュウマチなど)、末梢神経障害、中枢神経系疾患に最大負荷の筋力測定をしようとすると殆どの患者さんは痛みを訴えて拒否するか、認知症の人は筋力測定を理解しません。10年ほど前、パワーリハビリが、はやりました介護予防に高齢者用の筋力強化マシーントレーニングを推奨しました。殆どのデイサービスがパワーリハビリを導入しました。この10年間でパワーリハビリは効果があったでしょうか?デイサービスで働いている人は分かるはずです。介護報酬を切るなら、パワーリハビリテーションです。あれは、何の役にも立っていないので、レッグエクステンション、レッグアブダクション、レッグプレス等の機械での予防リハは止めるべきです。障害高齢者には全くエビデンスがないと言えます。この10年間でパワーリハビリは効果がないと明確になったと確信しています。